会長挨拶
令和7年6月15日
会長 伊達 元英
6月15日の第30回定時社員総会にて理事に当選をし、その後の理事会において会長に就任をいたしました、伊達元英でございます。この度3期目を務めさせて頂きます。これからの「薬剤師」は「守る事」から「攻める事」が求められる「時代」に、岡山県薬剤師会会長として重責を果たせるのか不安もありますが精一杯任期を全ういたします。
この2年間を振り返りますと、医薬品検査センターの廃止、薬事情報センターの休止など今までそこに当り前にあった物が無くなっています。薬剤師の「働き方」が保険調剤に特化してきた為だと思います。2025年薬剤師数は32万人余、今年度も9千人余の薬剤師国家試験合格者があり薬剤師数は年々増加しておりますが、2045年までの薬剤師需給推計では最大で12.6万人最小で2.4万人薬剤師が過剰になるとの予測があります。2020年の処方箋発行枚数も8.6億枚で2035年までは増加傾向にありますが、その年をピークに減少傾向に入ります。少子高齢化の進展の必然の結果です。薬剤師が30年恩恵を受けてきた偏った「医薬分業」は終焉を迎え地域に根差した「医薬分業」の形に徐々に是正されると思います。
令和7年は地域包括ケアシステムの構築目標年とされています。住み慣れた地域で医療・介護・福祉の様々なサービスが一体的に受けられるシステムを構築し、その中で薬局が主体的に機能を発揮する事が求められています。そのような状況の中薬剤師会活動の基本である支部活動は更に活発に行う必要があります。今までは、隣の医療機関の患者様を待っていれば良かった「時代」から「地域」へ出て行く事が求められる「時代」になります。
「患者の為の薬局ビジョン」や薬機法にも示されているように「かかりつけ薬剤師」が機能を発揮する「かかりつけ薬局」こそが重要であり地域住民から立地以外で選ばれる事が重要になります。「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」「健康サポート薬局」を兼ね備え、医療DXにも対応する事が必須となります。
そして、令和7年度日本薬剤師会が最も重点を置いている事業として「地域医薬品提供体制の強化」が挙げられます。「医薬分業」以来の大改革とも言われております。今まで薬局はその施設の「設備」や「機能」等を届け出すれば評価を受ける「時代」でしたが、これからは薬剤師の「職能」「職責」で評価を受ける「時代」になります。薬局間連携の推進により夜間・休日対応、在宅対応等に係る医薬品提供体制の構築・強化の為の事業です。電話対応ではなく店舗で地域住民に見える形での対応をしなければなりません。私たち「薬剤師」の「覚悟」が問われています。まずは、各地域で現状把握をし問題点を抽出し行政や多職種とも連携を密にしなければなりません。
災害対応も喫緊の課題で、先般の能登半島地震においても交通網は寸断され停電等大変過酷な状況の中での活動でした。いざという時に動けるように地域に合わせたBCPを作成しなければなりません。
オーバードーズについても対応をしなければなりません。この問題の対応は学校薬剤師会と連携をしながら若年層のうちから教育・啓蒙が重要と考えます。
薬剤師の偏在化についても、「地域」「業種」など少子高齢化や医薬分業の進展に起因する事も多々ありひとくくりに解決できる問題ではありませんが、病院薬剤師会等を支援して行きます。
また、会員の減少や支部の活性化など同時に検討しなければならない課題については理事会の中にWGを設置します。
以上述べましたように、私たち薬剤師には内憂外患様々な難題がございます。そして、それらを解決に向かわせるのは会員の皆様方のご協力を頂くしかありません。就任以来申し上げて参りましたが、「支部が主役」を継続し岡山県薬剤師会は日本薬剤師会と地域薬剤師会の連絡調整機関として活動して参りたいと思います。会員の皆様にいただいています会費以上の「情報」や「研修」などをお届けしたいと思い努力を続けて参ります。
今回「3期目」の挑戦ですが今まで申し上げて参りました「時代に合わせて変えなければならないものと、変えずに守らなければならないもの」を見極めて会長職を務めていく所存です。
最後になりますが、岡山県薬剤師会の136年に及ぶ歴史と伝統を守りつつ会員の皆様の為、地域の住民の為に貢献できる薬剤師会を目指して頑張って参ります。